不動産投資をやっている方であれば、一度は二棟目の投資に思いを馳せたことがあるのではないでしょうか。しかし、「買い増しをしてみたいけれど失敗するのではないか」「いつ買い増しをすればいいのかタイミングがわからない」という方も多いと思われます。そこで今回は、不動産投資で二棟目を購入するポイントをまとめました。
不動産投資で二棟目を所有するメリットとは?
不動産投資をしている人のなかには、一棟目の運営がある程度安定してきた時点で二棟目や三件目の複数所有を考えている方もいるのではないでしょうか。
しかし、初めて不動産を買い足すにあたり、二棟目を所有するメリットを把握しきれていないケースもあるかもしれません。
ここではまず、不動産投資で二棟目を所有するメリットについて解説します。
リスク分散ができる
不動産を二件所有することは、投資でいうところの「分散投資」につながり、リスク分散が期待できます。
一棟しか不動産を所有していない場合、天災をはじめ地価変動などの環境要因の変化によって賃料収入が大きく変動し、気付いたときには経営が大幅な赤字になっていたというケースも少なくありません。
しかし、そのようなときでも、物件を二棟目所有していて、どちらかの経営がきちんとしていれば、片方の経営に支障が出たとしても不動産収入がゼロになるリスクを防ぎ、経営全体にかかるダメージを抑えることができます。
ただし、リスク分散の観点から見た二棟目所有の注意点は、一棟目の物件とは異なるエリアや設備を有する物件を選ぶことです。
一棟目とは異なる状況や環境にある物件を購入しておけば、災害リスクをはじめ、空室リスクも回避できます。
関連記事:【不動産投資】物件の買い増し戦略とは?メリットやリスク、適切なタイミングを解説
金利の低減が期待できる
最近は低金利が続いており、二棟目を購入する際に、より金利の低い金融機関へまとめて借り換えることで、金利面でのメリットを享受できます。
また、一棟目の経営が安定していることが前提になりますが、二棟目の不動産投資ローンを借りるにあたっては金融機関の融資を受けやすくなるでしょう。
その際、経営している一棟目の利益率が高いほど、金融機関の評価が上がりやすいことも併せて覚えておいてください。
関連記事:不動産投資を始めるうえで知っておきたいローンの金利について。金利の種類と低く抑えるポイントhttps://www.richroad.co.jp/investment/200921-2/
節税効果がある
物件を複数所有していると、相続税に対する節税効果が期待できます。
現金と不動産で同じ額の資産を所有していても、不動産として所有したほうが相続税算出で用いる財産の評価額を抑えることができるので、節税効果が高まります。
また、物件の所有者が死亡するなどで相続が発生した場合も、物件が一棟しかないケースより、二棟所有していたほうがトラブルも起きにくいといえるでしょう。
なお、相続税の算出基準においては、個々の資産状況によって変わってくるため、税理士をはじめとした専門家に相談してください。
一棟目の経験を活かすことができる
一棟目の購入にあたっては、不安に思うことが多かったかもしれません。
しかし、二棟目の不動産を購入する際は、一棟目のときに培った知識や経験をそのまま活かせます。賃貸経営も一棟目ほど苦労せず、スムーズに進められるでしょう。
二棟目を所有するリスクと注意点
二棟目を所有するメリットをいくつか紹介しましたが、不動産を複数所有することによるリスクも存在します。
そこで、二棟目を所有する際の注意点についてもしっかりと理解しておきましょう。
リスクヘッジ目的なら一棟目とエリアを離そう
不動産の複数所有は分散投資につながりますが、二棟目に購入した物件が一棟目と同じエリアにある場合、リスクヘッジ効果はあまり期待できません。
最初の物件が安定して黒字経営できていたとしても、大震災などの災害が起きた場合、所有する不動産のすべてに多大な被害がおよびます。
そのため、リスクヘッジを目的として不動産を複数所有する場合には、一棟目の物件とは異なるエリアを選択したり、構造が大きく異なったりする物件の所有をおすすめします。
しかし、分散投資をして所有した物件でも、不動産市場を根底から揺るがすような景気変動が起きた場合は共倒れになる可能性もあることを頭の片隅においておきましょう。
管理の手間が増える
所有する不動産が増えたぶん、管理の手間も増えることになります。
不動産は買って終わりというわけにはいかず、購入後のメンテナンスや修繕が必要になることから、備えとしてそれ相応の金額を積み立てておかなければなりません。
また、買い増しによって収入や収支の計算が増えることはもちろんですが、総借入金額が増えることにも注意が必要です。
家賃収入で順調にローンの返済が進んでいれば問題ありませんが、災害や市場の暴落が原因で家賃収入が危うくなってしまった場合、ローン返済不能という事態に陥ってしまう恐れもあります。
そのため、常日頃からキャッシュフローを意識した経営が重要になります。
関連記事:不動産投資で重要となる管理会社の選び方とは?安心して任せられる業者を見極めるポイント
二棟目だから大丈夫だろうと油断しない
一棟目の不動産経営がスムーズに進み、順調に成果を出しているからといって、二棟目も必ず成功するとは限りません。
一棟目で一通りのことは経験していると過信し、すっかり油断しきった状態で二棟目の不動産に手を出すのはやめておきましょう。
一棟目の投資経験からくる慣れや慢心が、思いもしていなかった失敗を招くようなことも珍しくありません。
二棟目の購入においては一棟目の不動産の経営状態を見極め、本当に買い増しをしても大丈夫なのかどうかをしっかり見極めることが大切です。
少しでも経営状態に不安があるようであれば、いったん購入を見送り、少し時間をおいてから再考するといった心のゆとりを持つようにしましょう。
焦ってしまったがあまりに判断を誤ったり、二棟目の購入が早過ぎたりすると、結果としてキャッシュフローそのものの悪化を招く原因になります。
不動産投資で二棟目に所有すべきはどんな物件?
二棟目を購入する際のメリット・デメリットや注意点について説明しましたが、二棟目の不動産投資をする際に、「どのような物件を選べばいいのか」と疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。
一棟目にどのような物件を購入したのか、また、購入資金はいくらあるのか、投資の目的やゴールはどのように定めているのかなど、それぞれの考え方によって二棟目に購入したほうがいい物件は変わってきます。
そのような理由から、「二棟目にするならこの物件」と一概に述べることはできません。
ここでは、物件の構造別に、各物件のメリットとデメリット、相性について解説するので、二棟目の購入を検討する際の参考にしてください。
中古木造・軽鉄アパートには次のようなメリットがあります。
- キャピタルロスが少ない
- 収益率(利回り)が高い
- 減価償却が年度で大きく取れる
- 賃料の下落率が低い
- 物件価格の幅が広い
木造や軽鉄は安価で建築可能な構造なので、賃料が安く( 家賃変動が少なく下落率も低い)他の構造と比べると単身者からの需要が高めです。
家賃を高く設定できるRC構造のほうがいいのではと思いがちですが、単身のサラリーマンのなかには家賃補助がない人も多く、そういった層から一定のニーズが見込まれます。
デメリットは、築年数が古いほど、購入後に修繕やメンテナンス費用がかかることです。また、長期の融資がつきづらい傾向にあるのもデメリットといえるかもしれません。
このような理由から、中古木造・軽鉄アパートは税金対策で不動産投資を検討している方や、小規模な一棟物件から投資を始めたいと思っている方におすすめです。
新築アパート
新築アパートには次のような特徴があります。
- 長期の融資が使える
- 修繕費が軽く済む
- 賃料が高く取れる
- 初期は入居者がつきやすい
新築アパートは、中古・軽鉄アパートとおおむね逆の性質があると考えましょう。
中古アパートに比べると入居者が集まりやすく、有利な条件で融資が得られる一方、賃料が次第に下がる、キャピタルロスが出やすい、出口戦略が取りにくいといったデメリットもあります。 そのため、新築アパートは不動産投資初心者にはリスクが高いかもしれません。
中古RC(重鉄)マンション
目的にもよりますが、RCマンションは潤沢な資金がある場合におすすめの構造形態です。 中古RCマンションは、地方にあるのか、首都圏にあるのかで特徴が異なります。
地方中古RCマンション
地方中古RCマンションは利回りが高く、精算評価が高いのが特徴です。
首都圏中古RCマンション
首都圏中古RCマンションは空室率が低く、資産性が高いなどの特徴があります。
一方で利回りや生産性評価が低いといったデメリットがあるため、地方の中古RCマンションを購入するか、首都圏の中古RCマンションにするか、それぞれの特徴を把握したうえで判断するようにしましょう。
区分マンション
区分マンションも中古と新築とでメリットが分かれます。
中古区分マンションは賃料の下落率が低く、少額で始められることから、主婦や一般的なサラリーマンの方などからも人気があります。
また、新築区分マンションは長期の融資が使える一方で、価格が高すぎる、出口戦略が取れない、キャッシュフローが出ないなどのデメリットが多く、投資対象としてはあまりおすすめできません。
不動産投資で二棟目を購入するときに意識すべきポイント
ここでは不動産投資で二棟目を購入するときに意識したいポイントを解説します。
意識したい点は次の3つです。
- 購入の基準を明確にする
- エリアや規模も含めて広い視野を持つ
- パートナーとなる会社選びは慎重に行なう
それぞれ見ていきましょう。
購入の基準を明確にする
不動産投資に失敗する人にありがちなのは、あまり深く考えずに「一棟目がうまくいったから大丈夫だろう」といった根拠のない自信を頼りに二棟目を購入してしまうケースです。
安易な判断で購入した不動産が満足いくものではなかった場合、それを良い状態に持っていくのは並大抵のことではなく、うまくいかないまま失敗してしまう可能性もあります。
そのため、たとえ一棟目がスムーズに運営できていたとしても、おごることなく、一棟目と同じように二棟目の投資や運営も慎重に判断することが大切です。
二棟目の投資では、投資物件を増やす意味や意図を明確にし、それを実現する物件であるかを徹底して調査するなど、購入の基準を明確にして、買い足しに失敗するリスクを下げましょう。
エリアや規模も含めて広い視野を持つ
二棟目の物件を選定する際は、エリアや規模も含めて広い視野を持つように意識しましょう。
分散投資の観点からも、二棟目の候補に挙げる物件は、一棟目に購入した不動産とは性質の異なる物件にすることをおすすめします。
また、十分な比較検討をするためにも、複数の不動産会社から話を聞いたほうがよいでしょう。
一社だけに頼ってしまうと、情報の偏りを避けられません。情報の不足により二棟目の投資に失敗することのないように、複数の不動産会社に相談をして、あらゆる角度から物件情報を収集します。 情報が多すぎるとかえって混乱してしまうこともありますが、不動産情報には常にアンテナを張り、必要な情報と不要な情報を取捨選択しながら、最新の情報に触れるよう心がけましょう。
パートナーとなる会社選びは慎重に行なう
不動産会社や金融機関は、不動産投資をするうえで大切なビジネスパートナーになります。どの不動産会社に仲介をお願いし、どの金融機関から融資をしてもらうのが一番いいのかを見定めたうえで、理想的なパートナーを選びましょう。
不動産会社と親しい間柄になれば、空室ができたとき優先的に入居希望者を見つけてくれるかもしれません。また、将来的に三件目、四件目と不動産を買い足していくことになれば、そのときも良質な物件を紹介してくれる可能性も高まります。
金融機関と信頼関係を築いておけば、住宅ローンなど融資の相談に乗ってもらいやすくなるでしょう。
ビジネスパートナーとは長い付き合いになります。不動産会社と金融機関は、慎重に選定することが大切です。
まとめ
今回は不動産投資で二棟目を購入するポイントについて解説しました。二棟目の不動産取得に向け、信頼できる不動産会社や金融機関を選ぶのはもちろんのこと、物件構造ごとの特徴も理解したうえで投資先を選ぶようにしましょう。
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