【初心者必見】不動産投資のリスクをわかりやすく解説!失敗しないために知っておきたい基礎知識

前回は不動産投資のメリットについてご説明いたしました。ですが不動産投資も投資である以上リスクがあります。
リスクを知らなくては目隠しで道を歩くことと同じ。逆に対処法をよく知っておけば思わぬ落とし穴にはまらずに済みます。
今回は不動産投資に関するリスクと対処法をご説明します。

不動産投資につきもの!入居者同士のトラブルリスク

きちんと自分で入居者を選んだとしても入ってみないと人間性はわからないものです。様々な人が入居してくると住民同士のトラブル、例えば深夜に音がうるさい、ゴミを放置して困っている、共有スペースに物を置く、自転車置き場の使い方が悪いなどの迷惑行為を起こす人が出ることがあります。入居者の質が低いとせっかく入れた新規入居者を逃すだけではなく、次に入る入居候補者にも避けられる可能性が高くなります。これらのクレーム処理は管理会社に任せていれば対応してくれますが、自主管理の場合はすべて投資家自身が対応しなければなりません。戸数が多い物件を所有している場合、そのクレーム処理も大きな負担となりかねないため、管理会社への依頼も考える必要があります。

契約解除ではなく、迷惑行為をやめさせることを目的として対処する!

入居者間でトラブルが発生したら、共用スペースなどに張り紙をして告知しておきます。騒音を出している人、迷惑行為をしている人も読むため自分だと認識できます。同時に入居者全員に手紙を投函しておきます。これは入居者全員にその事実を確実に知らせるためと、トラブルを起こした本人だけでなく訴えてきた人に対してもきちんと対応しているというアピールに繋がります。

もしそれでも改善しないようであれば、トラブルを起こしている本人に直接連絡します。電話や直接訪問して事情を説明する必要も出てくる場合があります。根気よく注意を促がしても改善できなければ解約する旨の内容が記載された内容証明郵便を送付します。しかし本当の目的は解除ではなく迷惑行為を止めさせることですから、解約のみを優先的に考えることは避けましょう。空き室にも繋がるリスクがあるため、安易な解約はおすすめできません。

重要事項説明・賃貸借契約書でトラブルになる前に策を講じておく!

契約前に物件の詳細や契約内容の詳細を知ることのできる大切な機会である重要事項説明や賃貸契約書です。事前に想定できるトラブルの回避方法を盛り込んでおくと、入居者も注意するようになります。万が一トラブルが起きても、賃貸契約書を有効に利用して対処することができます。

他の入居者に迷惑をかけるような行為は解除する場合があると記載しておけば良いでしょう。さらに、民法上では「建物の用途に従って使用収益しなければならない義務」が借主には生じていますから、賃貸契約書に詳しく記載されていなくても契約を解除することはできます。その旨も同時に記載しておけば、入居者の迷惑行為を事前に防ぐことができます。

関連記事:【不動産投資の悩み】一棟アパート経営で入居者からよくあるクレームとその対応方法を紹介

家賃滞納リスク

不動産投資の物件を購入したら家賃回収を管理会社に任せるか、自分で回収するか考えなくてはなりません。
また、一度滞納されてしまうと回収には多大な手間がかかり、結果的に回収できない場合もあります。

以下に家賃滞納による失敗例を紹介いたします。
A氏のアパートでは問題なく家賃は回収できている状況で、長く住み続けている人がほとんどだったため家賃回収をA氏自身で行っていました。管理会社の回収代金の手数料は毎月家賃の5%でしたので内訳は家賃が8万円に対し4,320円の費用となります。この費用が惜しいと感じてしまい、家賃回収を自分でやると決めてしまったのです。
しかしその後、数ヶ月の家賃滞納が出てしまいました。入居者に電話、訪問しても連絡が取れず、仕方なく管理会社に相談することになりました。結果的に連帯保証人の方が支払いを済ませて入居者は退去することになったのですが、家賃滞納の回収の手間はかなり面倒でこんなことなら最初からお願いしておけば良かったと後悔したのでした。

こうした失敗例を元に、これから始めようと考える方はリスク対策をしておきましょう。不動産購入時の書類の確認・家賃回収の手間・購入する立地などを考慮のうえ、万が一の対策を考えておくことが非常に重要です。
値段、利回りから一見魅力的な物件に見えたとしても即決はせず、事前に地域を調査してリスクが高そうな物件には最初から手を出さないことや管理会社を活用する対策をすることで、このような失敗を回避することができます。

不動産投資で避けては通れない空室発生のリスク

不動産投資についてあまり勉強せず、何もせず自動的に収入が入ってくると思って始めてしまった方の中には、空室発生で悩まれている方もいます。空室が発生するとその分収入が減るだけではなく、最悪の場合本業の収入をローン返済にあてなくてはいけない状態となり、最終的に破産する場合もあります。
しかも今後、日本はますます人口が減少すると予想されており、2040年までには7割の地域で人口減少率が20%になるとも試算が出ています。さらに65歳以上の割合は36%を超え、地域によっては30%を超えるところもあります。特に減少率が高いのは、青森県、高知県、福島県、岩手県などの地方で、もともと高齢者が多い傾向があるため40%程度にまで上る地域も少なくないといわれています。若者が増えない地域では今後人口減少に拍車がかかるでしょう。
空き室を増やさないためにはどうすればいいのか?安定して不動産投資を続けていくためにどうすればいいのか?
リスク回避のための対策をご説明します。

物件選びで大手商業施設など特定の要素に頼りすぎない

不動産投資の物件選びは特定の要素のみに頼りすぎると失敗するケースがあります。
例えば商業施設・教育施設・大規模な工場があるため、需要があった地域で不動産を購入した場合、これらが撤退すると不動産価値が下がるため、空き室が増えて利回りが悪くなってしまう可能性が出てきます。

例えば大規模な工場があり需要が見込めたことからアパートを建築した事例があります。
駅から遠く地方であったのですが近くに自動車工場があり、従業員の人数も多く入居者の需要が見込めました。
しかしその後工場縮小されたため従業員の多くが転居してしまいました。その結果アパートは空き室が増え、満室になることは無くなってしまいました。
大学の場合も地方に建てられていることが多く、それを見込んで不動産投資に挑戦する人も増えています。しかし大学がいつまでもその場所にあるとは限りません。大型商業施設も時代のニーズの移り変わりにより移転する可能性もあります。
現在はよくても長期的に考えるとリスクがあったことに気づかなかったことで起きた失敗です。

建物の老朽化に注意

入居者の気持ちを考えたとき、汚い物件よりと綺麗な物件どちらに住みたいでしょうか?答えは明白ですね。
どんなに丈夫に立てた建物でも、いつか老朽化が訪れるものです。外壁や屋根、共有スペースなど目につくところはもちろん、サッシや建具の状態など建物に老朽化が見られると、入居者は不安を感じたり快適に住むことができないと考えたりするでしょう。
老朽化した建物をそのまま放置していては新たな入居者の獲得が難しいだけではなく、長く住んでいる入居者も退居してしまう原因になります。
さらに不動産としての価値も下落してしまうため、そのままでは入居者を獲得できずに家賃を下げなくてはいけない事態となるでしょう。建物の老朽化に関しては自ら物件に出向いてこまめに建物の状態を確認することも大切です。普段から管理会社と密に連絡を取り合い、メンテナンスをしておくことで物件の価値を下げずに済むのです。

関連記事:不動産投資で最も怖い空室リスク。空室がでやすい物件の対策と特徴は?

金利上昇リスク

サラリーマンや自営業の方の多くは銀行からローンを組んで不動産を購入していくことになりますが、その際何も考えずに組むと当初想定していたよりも返済額が増える可能性があります。

借入金額5000万円、借入期間30年で見たとき、金利2%と3%では総額9,357,084円もの差があります。

金利2.0%の例

借入金額:5,000万円

金利:2.0%

借入期間:30年

返済総額:66,531,359円

支払利息総額:16,531,359円

月額返済額:184,809円

年間返済額:2,217,708円

金利3.0%の例

借入金額:5,000万円

金利:3.0%

借入期間:30年

返済総額:75,888,443円

支払利息総額:25,888,443円

月額返済額:210,802円

年間返済額:2,529,624円

返済期間中に金利が上がった場合でも問題なく返済していけるように、あらかじめ返済計画にゆとりをもたせて手元に現金を残しておくことが重要になります。

関連記事:不動産投資を始めるうえで知っておきたいローンの金利について。金利の種類と低く抑えるポイント

不動産投資における災害リスク

不動産投資では、災害で損害を負うリスクもあります。地震や台風による水害など、近年は大規模な災害が多く発生しており、万が一の際の備えをしっかりと行っておくことがリスク回避に繋がります。災害におけるリスクとその回避についてどのようなものがあるかご説明します。

地震のリスク

災害が起こるとすると一番に想像されるのは地震です。甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災や東日本大震災では、いずれも多くの建物が破壊されました。その規模は全壊から半壊、一部損壊などに分かれますが、大きなダメージとなることには違いありません。さらにこれらの地震では火災や津波などの二次災害による被害もあり軽視できない甚大なリスクといえます。

台風や水害のリスク

近年では台風による記録的な大雨が観測されることも多くなり、河川の氾濫による洪水や土砂崩れなどの被害もよく目にするようになりました。台風は地震よりもよく訪れるものであり冠水した場合の修繕も必要となります。

火災のリスク

火災は都市部で自然に発生することは少ないですが、火の不始末や放火事件などにより被害を受けることは十分に考えられます。
平成30年には東京都内で3973件の火災があり、日常的に起こりえるものです。
また地震の二次災害として火災が起こるケースも非常に多いため、火災のリスクについても頭に入れておきましょう。

建物の構造や建材によって、万が一火災が起きても被害を最小限に抑えることができます。
木造の建物よりは鉄筋コンクリートの方が比較的ダメージが少ないといえます。木造の場合は1部屋から出火したら建物を全焼してしまいやすいですが、鉄筋コンクリートならその被害を出火元の1部屋のみに抑えることも可能です。
仮に全焼したとしても、鉄筋コンクリートなら数ヵ月もかからずに修復できるとされています。また、立地の観点からも火災が起こったときに消防車などが進入しやすい広い道路に面していることや、延焼の被害を受けやすい木造の建物の近くを選ばないことも物件購入の際のポイントです。

地盤沈下による価値の下落のリスク

地下水位の高い地盤では、地震が起きたときにその振動で液状化が発生することがあります。それにより地盤沈下が起こると、建物が傾いたり基礎にダメージが加わったりなどの被害を受ける可能性もあるのです。そうなると入居者も軒並み退居することは免れないでしょう。そして、液状化による地盤沈下が起こったその場所で建物を修復したとしても入居者がつかず、土地の価値も下がっているため、家賃は下落する一方となるのです。液状化などによる地盤沈下は、不動産の価値を大きく下げることになってしまいます。

災害リスクを回避するには保険加入と災害に強い物件選び。そして普段からの防災意識

自然災害はいくら気を付けていたとしても回避が難しいものです。そのため損害保険への加入を強くおすすめします。
人災による火災であれば火災保険で十分フォローできますし、地震や津波に備えて補償範囲の広い損害保険に加入することや、地震保険の特約をつけることも考えるべきです。

災害のための最低限の補償や住居人への対策として考えられるのが、火災保険と家財保険の加入です。
火災保険はオーナー自らが加入し災害リスクから建物を守るためのものですが、家財保険は入居者が加入して万が一の備えとして利用するものです。中には家財保険の加入を入居者に強制加入するオーナーや不動産業者もあります。その理由はそれぞれが所有する家財道具は近年高額となっており、平均で1,650万円にもなります。特に家族の人数が多いファミリー世帯で高額になる傾向があります。家財保険は火災以外にも災害の補償、水漏れ、盗難対策に対応しています。年間で6,000円~15,000円程度の費用でまかなうことができるようになっています。様々な被害により家財道具が被害を受けた場合に補償を受けられます。

万が一のことを考えるとオーナーが加入する火災保険だけでなく、住んでいる人の物が補償される保険も必要だといえます。加入時に強制にするか任意にするかはそれそれの考え方次第により変わりますが、ファミリー世帯や高額所得者を相手に貸す場合は別途あった方が安心です。

また、購入時には倒壊しにくい建物を選ぶことも重要です。
1981(昭和56)年6月1日以降の建築物においては新耐震基準をいうというものを満たしていますので、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないように設計されており、倒壊のリスクを下げることができるので安心です。
地盤沈下や液状化については東京都建設局が液状化の予測図(http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jigyo/tech/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.html)を発表しており、あらかじめ地盤を調べておくことでリスクの回避ができます。

そして何より大切なのは、日常から火災を防ぐための管理体制を整えておくことです。管理会社と契約する際には、防火管理をしっかり行っているところかどうかを確認することが大切です。もちろんスプリンクラーや消化器、火災報知器などの各種設備を整備していることは基本中の基本、大前提です。消防設備士などの専門家が法律に基づいて定期的に点検を行っているかは防火管理において重要なポイントなのでこのような防火管理を徹底している管理会社を見極めて契約を行いましょう。

不動産投資で見落としがちな税金の申告漏れリスク

きちんとリスクを考えて物件を選び、管理会社も各種保険も契約した。これですべて安心だ!…とはいかない不動産投資。

不動産投資をするうえでは様々な税金を支払う必要があります。不動産取得税、固定資産税、登記にかかる費用、所得税、相続した場合は相続税もかかります。買うことだけを考えて税金について調べておかないと、気づかないうちに申告漏れとなってしまい延滞金や追加徴税となってしまいます。

税金面や確定申告に関しては、税理士に指導を受けて進めるのが安心です。

まとめ

  • 入居者同士のトラブルリスクは賃貸借契約書でトラブルになる前に策を講じておく
  • 家賃滞納リスクには管理会社を活用しよう
  • 空室発生のリスクには購入時に特定の要素に頼りすぎないこと、こまめに建物の状態を確認し建物の老朽化に注意する
  • 金利上昇リスクにはあらかじめ返済計画にゆとりをもたせて手元に現金を残しておくこと
  • 災害おけるリスクには保険加入と災害に強い物件選び。そして普段からの防災意識
  • 見落としがちな税金の申告漏れリスクには税金面や確定申告に関しては、税理士に指導を受けて進める

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